
元モルガン銀行東京支店長・藤巻健史氏の大好評インタビュー第2弾。岸田政権は今後も増税を続けるのか、プライマリーバランス黒字化達成の意味や外国人投資家の日本に対する見方などについて聞いた。インタビュー全3回の最終回。
バラマキを散々やってきた日本で増税は不可避
――1月にBSテレ東の番組にて、自民党の甘利明前幹事長が消費増税の可能性について言及し、話題になりました。消費増税は避けられないのでしょうか?
(藤巻氏) 増税しないと財源を確保できませんよね。防衛費を増やすという話も出ていますが、このまま増税せずに財政赤字を続けていると、マーケットから売りを浴びせられてしまう可能性もあります。どうしようもない状況でやむを得ず、消費増税についても考えざるを得ないのだと思います。
――国債発行が難しくなっている状況なのでしょうか?
(藤巻氏) そうだと思います。日銀が国債を引き受けてくれなくなったら、国債を発行できなくなります。そのため、増税して財源を確保するしか選択肢がない状況なのでしょう。
現状、日銀は毎年、年間発行額の大部分の国債を買っています。一時は80%~90%近くまで買っていました。今は60%くらいになりましたが、日銀が「国債を買いません」となったら、長期金利が暴騰してしまいます。そのため、日銀から「もう買えない」との話があり、増税の議論が今になって出てきたのだと私は考えています。