文部科学省は2023年4月26日、「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の第4回会合を開催した。特別部会はICT 環境の整備と活用を進めることを目的として2022年1月に設置され、その下に「義務教育の在り方ワーキンググループ(WG)」と「高等学校教育の在り方に関するWG」の2つを設けて議論してきた。
義務教育の在り方WGでは、子供たちに必要な資質・能力と学校が果たす役割や全ての子供たちの可能性を引き出す学びの実現、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びの具体化、多様性と包摂性に基づく学校文化の醸成、学びにおけるオンラインの活用、学校教育になじめない子供に対する学びの保障について検討してきた。高等学校教育の在り方に関するWGでは、少子化が加速する地域における高校教育や全日制・定時制・通信制、探究・文理横断・実践的な学びの推進について教育委員会・学校・生徒からヒアリングを行って議論を重ねてきた。 2023年3月に発足した第12期中央教育審議会(中教審)でも、引き続き2つのWGを設けて議論を進めていく。
特別部会では、小中高等学校の不登校の児童・生徒への対応についても議論された。不登校の児童・生徒は急増していて約30万人に達している。文部科学省は不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指し、不登校対策「COCOLOプラン」を提案する。不登校特例校や校内教育支援センターの設置を促進し、教育支援センターの機能を強化する。児童・生徒の端末を活用して自宅などを在籍校とつなぎ、オンライン指導やテストなどを受けられるようにして結果が成績に反映されるようにする。 端末を毎日の健康観察にも利用して、子供たちの心身の状態の変化への気付きや相談支援のきっかけづくりにしていく。
特別部会ではChatGPTなど対話型AI(人工知能)についても検討すべきではないかという意見が相次いだ。NPO法人カタリバ 代表理事の今村久美氏は、「2023年3月に米OpenAIから最新版のGPT-4が発表され、その性能の高さは教育現場にも大きく影響を与えることが予想される。中教審でも指導要領や学習方法の変化などを想定して、学校や履修の在り方を議論していく必要があるのではないか」と提起した。千葉県教育委員会 教育長の冨塚昌子氏は「教育現場でChatGPTを拒絶するのは非現実的だ。正しく使いこなす情報モラルや道徳教育がますます重要になる」と話した。また、東北大学大学院情報科学研究科 教授の堀田龍也氏は「ChatGPTをどう使うかということではなく、対話型AIが出てきた中で教育内容はこのままでよいのかという議論になる」と指摘した。特別部会の部会長で、第12期中教審会長も務める教職員支援機構理事長の荒瀬克己氏は「ChatGPTなど対話型AIについて大胆に検討していきたい」と話した。