不登校用ロボット

熊本市の学校に12日導入された、こちらのロボット。遠隔操作で、子どもの代わりに授業に参加するそうです。導入のねらいを取材しました。

熊本市の本荘小学校など2校に、試験的に導入されたこちらのロボット。

さまざまな事情で登校できない児童や生徒が
、備えつけられたタブレットを、自宅からパソコンなどで遠隔操作して、授業に参加したり、友達と会話したりすることができます。

高さは約1メートル、足にはローラーが付いていて、教室内を自由に動き回ることもできます。

(本荘小学校 西川英臣校長)「学校に行かなければならないというプレッシャーを軽くして、まずは学びとつながる、学校とつながる、先生とつながるということが可能になってくるんじゃないか」

導入の背景には、不登校の児童、生徒数が年々増え続けていることがあります。

文科省によると昨年度、小・中学校の不登校だった児童、生徒は、過去最多の約29万人。

県内でも昨年度、小学校から高校で不登校だった児童、生徒は過去最多の6130人となっています。

こうした中、熊本市は昨年度から、不登校の児童や生徒を対象に、タブレットを活用したオンライン学習支援を実施していますが、学校との心理的距離をより近く感じてもらうことなどをねらいとして今回、ロボットを導入しました。

2台の導入にかかる費用は約140万円で、文科省の事業を活用しました。

全国では、すでにこのロボットを導入している学校もあります。

例えば、京都にある総合支援学校。
病気で入院療養中の児童、生徒がロボットを遠隔操作して、図書館の本を閲覧したり、学習発表会の作品を鑑賞したりしています。

また、徳島の海部小学校では、昨年度の1学期、東京に住む不登校の男子児童がロボットを通じて授業に参加。その後男子児童は、家族とともに徳島に移り住み、、2学期以降は登校することができたということです。

海部小学校の溝内教諭は、
「ロボットはワンクッションあるのでクラスに入りやすい。今後もニーズがあれば受け付けたい」としています。

さまざまな理由で不登校の状態にある子どもたちの学習支援などに取り組む熊本学習支援センター。

約130人の子どもが在籍し、不登校に関する相談が1日に5件ほど寄せられます。

ロボットの導入について、在籍する子どもたちからは、「1歩踏み出すきっかけになる」
「まずはフリースクールなどにかかるお金を支援してほしい」など、様々な声が聞かれました。

熊本学習支援センターの仙波達哉センター長は、「学校に行きたいと思ってもいけない子どもの半分が家から出れない。家から1歩出るその作業を一体どうするのかというのは、人でないとロボットじゃできない」「1人の子を外に連れ出すのに半年かかる、それは本当に多くの人が必要だし、大変な労力だと思います」

ロボット導入の意義について理解を示しつつも、児童や生徒の「登校」につなげることの難しさを指摘しました。

熊本市は、「ロボットの導入が児童や生徒の選択肢の1つとなることに期待したい」としていて、登校が難しい児童や生徒に対するオンライン学習支援の拡充や、不登校サポーターの増員などにも引き続き取り組むとしています。

市は、来年3月まで検証を続け、ロボットを本格導入するかどうかを検討していくとしています。



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