千葉県内の公立中学校の間で、5段階評価の成績分布にばらつきが出ている。同じ地域、科目でも半数の生徒が最高評価「5」の学校がある一方、「5」が一人もいない学校もある。評価は高校入試の内申点に直結するため、生徒の進路に影響が出るとして、学校間の格差是正を求める声が上がっている。(河津真行)
全員に「5」
千葉県の公立高校入試では中学1年から3年までの9教科の成績を5段階評価した点数の合計に、各校が設定した比率を掛け合わせて内申点を算定する。学力検査の得点と合算し、部活動の成績なども点数化した上で合否を判断する。内申点の比重は、得点全体の2割前後だ。私立高校でも推薦入試の合否判定に内申点を用いるケースは多い。

生徒の成績は個人の達成度を測る「絶対評価」を採用しているため、学校によってばらつきが目立つ。県教育委員会が2023年度に公表した学校別の成績分布によると、同じ地域でも「美術」で中学3年全員に「5」をつける学校がある一方、「5」が全体の4%にとどまる学校もあった。

「技術・家庭」では、一部の学校が半数の生徒に「5」をつけたのに対し、「5」の生徒がいない学校もあった。数学や理科、社会といった主要科目でも、半数以上の生徒に「5」をつけた学校があった。
「評価格差は顕著」
学校や教師で評価のばらつきが生じるため、内申点を高校入試に取り入れるのは「不公平」との批判がつきまとう。これに対して県教委は、内申点を活用する理由について「文部科学省の通知に従い、多面的な評価をするため」と説明する。
県教委ではかつて、成績評価の平均が高い中学に通う生徒は内申点を下げ、平均が低い中学に通う生徒の内申点は上げる「補正」を実施していた。学校や地域の格差が縮まったとして、21年度以降は取りやめたが、中学によって良い成績の取りやすさに違いがあるとの指摘は根強い。
問題は27日の県議会でも取り上げられ、予備校で講師経験のある雨宮真吾県議(無所属)が「学校間の評価格差は顕著だ。学校ガチャ、担当教師ガチャが発生してしまっている」と述べ、成績評価の平準化を求めた。冨塚昌子教育長は「中学校間に差がある」との認識を示した上で、「客観的で公平な評価を行えるように研修などの充実を図っていく」と答弁した。