ガソリン補助金、初のゼロ円に 原油安など反映 17日から
ガソリン価格高騰を抑えるための政府の補助金の支給額が、17日からゼロ円になることが分かった。足元の原油安などが反映された。2022年1月の制度開始以降で補助金がゼロになるのは初めて。10~16日の支給額は4・4円だった。資源エネルギー庁が16日午後2時に石油製品市況動向の調査結果とともに公表する。
【写真】こんなに変わる…ガソリン「税抜き」と「税込み」の価格
補助金の支給額は、資源エネルギー庁が1週間ごとに市場価格の動向を見て調整している。現在は小売価格の全国平均が1リットル185円を上回ると石油元売りに補助金が支給される。185円を上回れば補助金が復活する。
政府は25年3月末に補助金を打ち切る予定だったが、4月以降も当面継続する方針に切り替えた。自民、公明、国民民主の3党は、ガソリン税の旧暫定税率の廃止が実現するまでのつなぎとして、ガソリン価格について6月から一定額を補助することで合意したが、具体策の検討に影響を与える可能性がある。【中島昭浩】
1. トリガー条項とは
トリガー条項(Trigger Clause)は、特定の条件が満たされると自動的に税率を変更する法律の規定です。ガソリン税の場合、以下の条件で発動します:
- 発動条件:レギュラーガソリンの全国平均小売価格が3か月連続で1リットル160円を超えた場合、ガソリン税の特例税率分(25.1円/リットル)の課税が停止される。
- 解除条件:発動後、ガソリン価格が3か月連続で1リットル130円を下回った場合、特例税率の課税が再開される。
- 軽油の場合:トラックなどで使用される軽油にも同様の仕組みがあり、軽油引取税の特例税率分(17.1円/リットル)が減税される。
この仕組みは、ガソリン価格の高騰が国民生活や経済に与える影響を軽減することを目的として、2010年度の税制改正(租税特別措置法改正)で導入されました。
2. ガソリン税の構造
ガソリン税は、以下の2つの税金で構成されています:
- 揮発油税(国税):1リットルあたり48.6円(本則税率28.7円+特例税率25.1円)
- 地方揮発油税(地方税):1リットルあたり5.2円
- 合計:1リットルあたり53.8円
トリガー条項は、このうち特例税率(25.1円/リットル)を対象に、価格高騰時に課税を停止するものです。軽油引取税も同様に、32.1円/リットルのうち特例税率分17.1円が対象となります。
3. 関連する法律
トリガー条項に関連する主な法律は以下の通りです:
- 租税特別措置法(2010年改正):ガソリン税の特例税率の課税停止を規定(第89条)。2010年3月31日に改正され、トリガー条項が導入された。
- 地方税法(附則第12条の2の9):軽油引取税の特例税率の減税を規定。
- 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法):2011年の東日本大震災後、復興財源確保を理由にトリガー条項を凍結。この法律により、現在もトリガー条項は発動できない状態にある。