関税戦争序盤、つまずいたトランプ政権 「正義の味方」で勝った中国

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 米中両国が12日、ともに関税を90日間、115%引き下げることで合意した。トランプ大統領が仕掛けた関税戦争だったが、米経済への悪影響が明らかになり、米側が折れざるを得なかった結果といえる。関税戦争の序盤でつまずいた米国が威信を失った一方、「勝利」との見方も広がる中国は自信を深めそうだ。

 今回の合意で注目に値するのは、ベッセント米財務長官が「両国とも(経済の)デカップリング(切り離し)を望んでいない」と述べたことだ。

 トランプ政権は、輸出に頼り、経済も減速している中国に対し、世界一の経済大国である米国が高関税を課せば、相手は音を上げるだろうと踏んでいた。

編集委員・奥寺淳