バイデン前米大統領が前立腺がん 骨に転移と公表

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【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン前米大統領(82)の事務所は18日、同氏が前立腺がんと診断され、骨に転移していると公表した。バイデン氏は2024年の大統領選で再選を目指したが、高齢不安から撤退を余儀なくされた。

米主要メディアなどが事務所の声明を伝えた。先週、バイデン氏は排尿に関する症状を訴え、診察を受けた。16日にがんと診断された。

事務所は声明に「がんの悪性度は高いが、効果的な管理は可能だ」と記した。前立腺がんの進行の度合いをみる1〜10の評価のうち、バイデン氏は9で、最も進行した分類にあてはまる。

バイデン氏と家族は医師と治療方法を検討中だとしている。トランプ大統領は自身のSNSに「悲しんでいる。一日も早い回復を祈る」と投稿した。

バイデン氏は2021年1月に就任し、今年1月に史上最も高齢の大統領として退任した。米疾病対策センター(CDC)によると、男性の場合、高齢になるほど前立腺がんの発症リスクが高まる。

バイデン氏は23年2月に健康診断を受けた際に、採取した皮膚の組織から皮膚がんの一種が見つかった。すべて除去し、追加の治療は必要ないと公表した。

バイデン氏が再選を目指した大統領選では、同氏の身体的な衰えの有無が有権者の関心事となっていた。

米CNNテレビの著名キャスター、ジェイク・タッパー氏と米ニュースサイトのアクシオスの記者による20日発売の著書では、バイデン氏が大統領選で勝利し2期目に入った場合、車いすの使用を側近らが協議していた。

主治医が「転倒したら回復が難しい」と警告していたという。認知機能の低下もみられ、24年の資金集め集会で、長年の知人だった著名俳優、ジョージ・クルーニーさんを認識できなかった。米メディアが著書の発売に先んじて内容を報じた。

バイデン氏は24年6月のトランプ氏とのテレビ討論会で言葉に詰まるなど精彩を欠いた。民主党内から撤退論が強まり、当時の副大統領だったハリス氏が後継候補になった。

バイデン氏は今月8日の米ABCテレビの番組に出演し、元気な姿をみせた。第2次トランプ政権発足後の100日間を「史上最悪だった」と評した。

大統領選でハリス氏がトランプ氏に敗れたのは「私が(当時の政権の)責任者で、勝ったのは彼だった」と述べ、自身にも責任があると認めた。