スマートフォンやモバイルバッテリー、携帯用扇風機など様々な製品に使われているリチウムイオン電池の発火事故が相次いでいる。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2020~24年の5年間に1860件発生。うち8割以上は火災事故に発展した。

イオン液体(左)を用いたリチウムイオン電池について説明する石川CEO(大阪府吹田市で)

 「発火しない」リチウムイオン電池を開発し、実用化を目指している。

 そもそも、なぜリチウムイオン電池は発火するのか。一般的に使用されている電解液には、揮発性のある有機溶媒が使用されている。衝撃などで内部の正極板と負極板がショートし、揮発した溶媒に引火することがある。

 開発した新電池は、一般的な電解液の代わりに、高い温度や圧力でも液体の状態を保つ「イオン液体」を用いる。蒸発、引火しないことから、安全性が高いという。

 イオン液体は00年代、電池への活用が期待されていたものの実用化は困難とされていた。電池研究者の関西大教授の石川正司CEO(最高経営責任者)(63)らが、電池として利用できるイオン液体を発見した。化学メーカーの第一工業製薬などと共同開発を進めてきた。正極を塗布する製造工程でも、回収が容易な水系塗料を開発した。

 真空など過酷な環境下でも安全に使用できるとして、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星ロケットの制御回路電源として搭載されたこともある。

 次世代電池としては、電解質を固体に切り替えた「全固体電池」への期待が高まっている。ただ、石川氏は、イオン液体は、従来の製造工程を大きく変更する必要がないことから製造現場で生産の切り替えが容易で、耐久性も高いとみている。

 今後、宇宙用途のほかにも、医療用や、これまでのリチウムイオン電池の利用が難しかった高温な環境での活用を目指している。

 万博では、新電池の特徴や、環境に優しい製法などを、映像を用いてわかりやすく紹介する予定だ。

 石川氏は「電池の世界を変えることも夢ではないと思っている。万博を通じて多くの人に関心を持ってもらい、量産化につなげたい」と期待を込める。

アイ・エレクトロライト

【設立】2014年

【本社】大阪府吹田市

【代表】阿部一雄社長兼COO(最高執行責任者)

【展示・参加】大阪ヘルスケアパビリオン(5~11日)