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国が目指すデジタル教科書の正式な教科書化について、政令市など90市区の教育委員会のうち、6割が「懸念」を持っていることが読売新聞のアンケート調査でわかった。児童生徒の健康面や学習への影響などを心配する声が多く、「紙中心」の教科書を望む教委は全体の半数だった。 【グラフ】ひと目で分かる…デジタル教科書の正式教科書化への懸念の有無
文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の作業部会は9月、デジタル教科書を正式な教科書として、国の検定や採択、使用義務の対象とする審議まとめを公表。「紙」と「デジタル」のほか、紙に掲載されたQRコード(2次元コード)などからつながるインターネット上の動画や音声といった教材を含めて教科書とする「ハイブリッド」型を示した。
読売新聞は10~11月中旬、公立小中学校などを所管する道府県庁所在市、政令市、中核市、東京23区の計109教委を対象にアンケート調査を実施。90教委が回答し、回答率は82・6%だった。
調査では、デジタル教科書を正式な教科書として学校現場で使うことに慎重な意見が多数を占めた。懸念が「ある」と答えたのは、「どちらかといえば、ある」を含めて61%だった。「ある」が12%、「どちらかといえば、ある」は49%で、「どちらかといえば、ない」は29%、「ない」が10%だった。
懸念点を10項目から複数回答で選んでもらったところ、最も多かったのは「視力の低下や姿勢の悪化など子どもの健康面に影響する」で69%に上った。次いで「災害や停電、大規模通信障害時に教科書が見られない」が67%だった。
学習への影響を懸念する声も目立ち、「児童生徒の『書く』時間が減少する」が37%、「授業と関係ないネットや動画、ゲームの操作をしてしまう」は28%だった。
期待する点(複数回答)は「英語などの音声の読み上げ」を97%が選び、「動画やアニメーションを利用できる」なども高かった。
望ましい教科書の形態を聞いたところ、「紙が中心のハイブリッドで、デジタルは補助的な使用にする」が50%で最多だった。「紙中心」を選んだ理由では「鉛筆で書き込んだり、教科書をめくったりすることで学習内容を把握しやすい」(盛岡市)などの意見がみられた。「デジタル中心のハイブリッド」は9%にとどまった。
文部科学省は来年の通常国会で学校教育法など関連法を改正し、2030年度から学校現場での使用開始を目指している。
◆デジタル教科書=2019年度から使用できるようになった紙の教科書の「代替教材」。現在は、紙のみが正式な教科書で、デジタルは紙と同じ内容を端末の画面に表示している。デジタルの正式教科書化によって動画や動かせるグラフ、音声なども教科書として国の検定や使用義務の対象となる。
