
ガソリン税にかかる旧暫定税率を廃止する減税法が28日の参院本会議で可決、成立した。暫定税率は1974年に道路整備の財源として導入され、2009年に一般財源化してからも事実上維持されてきた。半世紀を経て物価高への対応として姿を消すが、財源確保など課題は残されたままだ。
ガソリン税は1リットルあたり53.8円かかっている。このうち本則税率である28.7円が残り、上乗せされている25.1円の旧暫定税率分が12月31日に撤廃される。軽油も本則税率の15円が維持され、上乗せ分の17.1円が26年4月1日になくなる。

価格の激変を緩和するため、政府はガソリン補助金を段階的に積み増している。12月11日に旧暫定税率と同額の25.1円にする。軽油も補助額を積み増し、27日に17.1円に達した。
旧暫定税率の廃止は政府の物価高対策の一環だ。7月の参院選で与党が過半数を失ったことを受けて、自民党は野党が求める年内廃止を受け入れた。11月に自民、日本維新の会、立憲民主、国民民主、公明、共産の6党で正式に合意し、政府がまとめた経済対策に盛り込んだ。
政府は廃止によって家計1世帯あたり年間1万2000円程度の負担を軽減し、消費者物価を0.3%程度押し下げる効果があると見込む。
旧暫定税率は道路財源を確保するため1974年に「2年間の暫定措置」として本則税率に上乗せする形で導入された。延長と税率引き上げを繰り返し、2009年に使途を限定しない一般財源となった。10年に名称が「当分の間税率」に変更されたものの、厳しい財政事情や地球温暖化対策の観点も踏まえて事実上維持されてきた。
廃止によって国・地方を合わせて年1.5兆円の税収に穴が開く。穴埋めの具体策の議論はこれからだ。一般財源化してからも実態としてはインフラ整備を支えており、増加が見込まれる老朽インフラ更新に向けた財源確保が課題になる。
与党の税制調査会が進める26年度の税制改正に向けた議論で焦点の一つとなっている。法人向けの租税特別措置(租特)と呼ぶ政策減税の縮減が財源の候補になっており、中でも減税額の大きい研究開発税制や賃上げ促進税制が取り沙汰される。経済界からは租特の維持や拡充を求める声が上がり、協議は難航している。
第一生命経済研究所の新家義貴氏は「暫定的な税と位置づけてきた以上、家計の負担を減らす目的も考えれば、全額の代替財源確保は理解を得にくい。歳出削減などの取り組みが重要になる」と指摘する。

ガソリン価格が安くなれば消費が増え、脱炭素にも逆行する。低燃費やエネルギー転換の取り組みも遅れかねない。京大の諸富徹教授は「日本の最大の貿易赤字要因である海外への化石燃料依存の構図が温存され、エネルギーの安全保障の面からも課題がある」と語る。
法律には今後のインフラ整備を見据えた安定財源確保や脱炭素との関係について「引き続き検討し、おおむね1年をめどに結論を得る」と記載した。課題は先送りされている。