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探究の概念を再定義 「課題」の洗練や「探究の質」の考え方も提示

探究の概念を再定義 「課題」の洗練や「探究の質」の考え方も提示
生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ(主査:黒上晴夫関西大学総合情報学部教授)

 次期学習指導要領に向け、中教審教育課程部会の「生活、総合的な学習・探究の時間ワーキンググループ(WG)」は12月26日、第3回会合を開催した。探究の概念の再定義や課題の設定、「探究の質」の考え方、さまざまな探究の在り方などを整理。委員からは、学校現場が抱えてきた曖昧さや疑問を払拭(ふっしょく)し、実践の深まりを後押しする指針として評価する声が相次いだ。

探究の概念、平易な言葉で分かりやすく再定義

 現行の学習指導要領では、探究を「問題解決的な学習が発展的に繰り返されていくこと」などと定義しているが、現場からは表現が抽象的である、教科との関連が見えにくいといった指摘が出ていた。

 これを受け文部科学省は、探究を「実社会・実生活との関わりの中で見いだす自己の興味・関心や問題意識に基づき課題を設定し、教科等の学びを必要に応じて活用し、試行錯誤しながら、課題解決を通じた新たな価値の創造を繰り返していく学習のプロセス」と再定義する案を示した。

 新たな定義案では、学習者の「好き」や「得意」を含む興味・関心を起点とすることや、教科の学びは目的ではなく手段として活用することも明確化。自分なりのやり方で「解決」し、自己や他者にとっての「新たな価値の創造」(「好き」や「得意」の伸長を含む)を目指すことなども打ち出された。

 こうした整理に対し、委員からは「今まで学校現場でやや曖昧に捉えられてきた探究の概念が、非常に平易な言葉で分かりやすく表現されている」「これまで疑問に思っていたり、正しい理解がないまま進めていたりしたことが、かなり改善できるのではないか」と期待の声が上がった。

 学校現場が苦慮する「課題の設定」についても改善案が示された。興味・関心などに基づく素朴な問いが、探究の過程を経て「解明したい問い」「解明したい課題」といった形で、より解像度の高いものへと洗練されていくプロセスを、参考資料などで具体化する方針だ。

 また、探究の質の考え方として、「課題の質」「プロセスの質」「成果の質」の3つの視点を提示した。例えば「課題の質」については、小学校の身近な関心(好きや得意)から、高校での社会・学問との接続、さらにはキャリア形成への自覚へと、発達段階に応じて深まるイメージを共有することが提案された。

多様な探究の在り方を可視化 委員から高い評価

 今回の会合で特に委員の注目を集めたのが、さまざまな探究の在り方を視覚的に示したイメージ図だ。総合的な学習の時間の創設から約30年が経過し、蓄積された実践を「研究系」「創作系」「行動系」といったバリエーションで整理した。

 これについて、廣瀬志保委員(山梨県立笛吹高校校長)は「学校現場の多様な探究の在り方を網羅的に示してくれている。学校や学科の特色に合わせて、教員が探究を組み立てる際に参考になる。生徒にとってもアウトプットの方法が分かりやすく表現されていて、見通しを立てやすいのではないか」と高く評価した。

 また、伊藤あゆり委員(静岡市立大里西小学校校長)は、「小学校では行動系の探究の在り方が多くを占めている印象がある。教員が研究系や創作系という探究の在り方を知り、視野を広く持つことや、それぞれで想定されているプロセスや成果の特徴を捉えていることは、今後、指導計画を作っていく上で一助になる」と期待を寄せた。

 一方で、現状への課題も提起された。山田敦委員(京都市教育委員会事務局指導部学校指導課統括首席指導主事)は、「課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現という探究のプロセスが示されてから随分とたっているが、中学校現場ではようやくそれが定着してきたという印象だ」と現状に触れ、「依然として調べ学習の域を出ないケースもある。整理された『探究の質』を現場が正しく理解していく必要がある」と強調した。

生活科は「身体性」を重視 AI時代見据えた意義を整理

 生活科については、学びの本質的な意義を①身体性-身体で世界をとらえる(実感)②自己認識-自分という存在に気付く(主体性・自立性)③対象と自分との関わり-身近な世界に働きかけ、気付く(好奇心・探究心)④他者と自分との関わり-他者の思いや願いを尊重し、共に生活する(協働性・共感)の4つに整理。

 これを踏まえ、指導の重点化の柱を「身体性を伴った体験活動」「探究的な学びへの接続」「多様な表現活動」「他者との関わり創出」と位置付けた。また、こうした学びを通して、身体性に根差した深い理解につなげていくとしている。

 岩本悠委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「AI時代において身体性は極めて重要な概念で、生活科にとどまらない重要なポイントになる。身体性の意義や概念をしっかりと深く説明していく必要がある」と提言。

 黒上晴夫主査(関西大学総合情報学部教授)は、今回の改訂で情報活用能力が重要視されている点に触れ、「総合だけでなく、生活科でも同様だ。ICTは鏡でもあり、虫眼鏡でもあり、スケッチブックでもある。そういう道具を使って実体験が充実する、といったことをどこかで示したい」と意欲を示した。

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